株式会社パートナープロップは、企業が販売代理店などのパートナー企業との関係を強化し、パートナー販売を通じた売上成長を支援するPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)ツールを提供するスタートアップです。2023年に設立され、シリーズAで累計9億円の資金調達を実施するなど、成長を続けています(同社公表)。同社は、急成長する組織で再現性のある営業組織をつくることを目的にGensparkを導入し、案件化率の40%向上、リードタイムの10%削減、資料作成時間の9割削減などの成果をあげています(いずれも同社の説明)。導入の経緯と現在の活用状況を説明しているのは、磐崎 友玖氏です。
- 成長期のスタートアップが陥る、営業属人化と部分最適の構造
- 初回商談の「準備」を仕組み化することで、案件化率とリードタイムを同時に動かす方法
- 売上向上と固定費抑制の両方を狙うRevOps視点のAI投資
属人化した営業と、個別対応できない準備
導入前のパートナープロップには、成長期のスタートアップに共通する2つの課題がありました。
ひとつは、営業活動の属人化です。誰がやっても同じように売上を出せる仕組みがなく、営業担当者の経験やスキルに依存する状態でした。営業組織を分業化したことで、各部門が自部門の目標のみを追う「部分最適」や、情報のブラックボックス化も進んでいました。
もうひとつは、初回商談の準備の質と工数です。初めて接する顧客であればあるほど、時間と工数の制約から、顧客ごとにカスタマイズした資料をつくることが難しくなります。汎用のサービス資料では「まだ導入のタイミングではない」「自社の課題とは違う」と受け取られ、案件化につながらない——。そんな状況を、同社は変えようとしていました。
「再現性」と「準備の質」への投資
同社が重視したのは、営業を属人化から「仕組み」に変えることでした。売上を最大化する収益の仕組みをつくる「レベニューオペレーション(RevOps)」の考え方のもと、一人当たりの生産性を飛躍的に高める武器として、AIへの投資を強化しました。その中心に据えたのが、Gensparkです。
初回商談の準備を仕組み化し、商談の質を高めることこそが、成果につながるというのが、同社の判断でした。この考え方の背景について、磐崎氏は次のように話します。
「特に重要になるのは、いかに再現性のある営業組織を作っていくかということです」
「良い結果を左右するのは、良い準備でしかない」
初回商談の準備を仕組み化
Gensparkは、初回商談の準備、提案書の作成、既存顧客へのカスタマーサクセス・サポートなど、営業のさまざまな場面で使われています。
「初回商談のタイミングだったり、提案書を作成するタイミング、既存のお客様へのカスタマーサクセス・サポートを行っていくタイミングと、いろんな箇所で使っています」
このうち同社が特に重視するのが、初回商談です。
初回商談では、顧客のIR情報や中期経営計画などのリサーチを自動化し、自社のソリューションに関連する課題(売上・コスト・営業部門の課題など)の論点を整理します。それを商談の議論のベースとなる「ディスカッションペーパー」として資料化することで、顧客自身が自社の課題に気づけるようにします。あわせて、同社がこれまで蓄積してきた顧客事例や社内のナレッジをGensparkに接続し、特定の商談に合わせて必要な情報をピンポイントで引き出しています。
案件化率40%向上、リードタイム10%削減
以下は、同社が説明する、Genspark導入後の成果です。
- +40%案件化率の向上
- −10%受注に至るまでのリードタイム削減
- −90%顧客ごと個別資料の作成時間削減
- 1人分相当の人件費削減効果
顧客ごとの状況をまとめた個別資料を用意することで、顧客が「そうなんですよ、ここに課題があるんです」と自社の課題に気づいてもらえる率が高まり、案件化率の向上と受注期間の短縮につながったと、同社は説明します。売上を伸ばすことと、固定費を抑えることの両方に寄与した、としています。
営業の成果は「準備」と「仕組み」で決まる
パートナープロップの事例から、営業組織の強化を考える他社が学べる点は3つあります。
ポイント1:商談の成果は「準備」で決まる
顧客ごとに状況をまとめた個別資料は、「自社のための提案」と受け取られ、顧客自身の課題認識を生みます。汎用資料を配る形から、準備を仕組みで個別化する形への転換が、案件化率と受注期間の両方を動かします。
ポイント2:営業の再現性は、仕組みで作る
属人化した営業ノウハウを、リサーチの自動化・論点の整理・資料化という仕組みに置き換えることで、「誰がやっても同じように売上を出せる」組織に近づきます。RevOpsの考え方は、その設計図になります。
ポイント3:AI投資は「成長」と「コスト」の両輪で考える
売上を伸ばすための質の向上と、工数・人件費の削減の両方に効かせる投資の仕方は、スタートアップに限らず多くの組織で再現可能です。
※本事例は2026年9月時点の情報です。